雲の上の青い空

  1. COFFEE
  2. 867 view

大地からと空から見ると

出張があり東京へ出かけてきた。
セミナーとSCAJへ行き見に詰まった時間を咀嚼し始めている。凝縮した2日間は、コーヒーと人、少しの辛いカレーで身が引き締まった。仕事柄、人と人との繋がりがコーヒーだったりすることが多いが、それはちょっと浅はかな言い表しかも知れないとふと立ち止まってしまった。何故そう思ったのだろうか。最初は確かにコーヒーのおかげだと思う。その後は少し違うように感じている。自分本位に考えると無意識に自分が懐ける相手を見つけているのだろうと思う。そういう人の言葉が身体中に刺さっていたりするのだ。それは決して痛いだけの傷ではなくて、飲んで苦い良薬的なスパイスになっているんだと、体内に流れる血液にも溶けて体や思考に関与しているといったイメージだ。自分の周りには年齢問わずそんな方々がいるのだ。

目標を突き上げて飛んでいく気持ちと、俯瞰して小さくなって見えない不安など何かしらある。どちらが優れているという基準ではなくてバランスをとることをしないと前へ進みにくくなってくるということだ。下からも上からも雲がかかると見る方向が見えなくて不安になってしまうが、雲こそがイレギュラーに思えてくる。しかしそれこそが自分を発揮する機会だと思っている。

コーヒーの美味しさや楽しさを届けたいと熱弁はするものの、いったいどんな相手へ届けたいのか知る由も無い。それこそマニュアルがあったら大変なことになりかねない。漠然たる見えない相手へ届けることの方がむしろ不安だ。何かを知れるまでは、感触を得るために自分を前に進めなくてはないけない。

今回の出張はそう思える機会だった。
なにかこうネイティヴにコーヒーを楽しんでもらいたいし、それを味わってほしい。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

甘酸っぱいエスプレッソ

吟味する素材の持ち味を知ること。それに尽きるところだが、それを知ろうとすると多方向からのアプローチは必要だ。カッピングから始まり、ドリップで抽出時間や温度、粒度を…

  • 451 view

エレガントコーヒー

コーヒーの香りはもちろん大切ですが『質感』も同様です。「香り」と「質感」その2つが合わさってこそ、コーヒーの魅力は倍増していきます。バランスのとれた焙煎をするのは難し…

  • 681 view

ある日のコーヒーの香り

秋の夕暮れコーヒー日が暮れ始めると途端に寒くなってくる。あっという間に10度くらいまで下がりそろそろストーブの準備をしなくてはと思うこの頃だ。店内は焙煎機…

  • 384 view

カスタマイズコーヒー

いい加減に草刈りをしなければと思い、外へ出て確かめてみたら思いのほか茂っていて驚いた。ここまで伸びていたら半日はかかるな。夏に向けて草木だって我先にと…

  • 379 view

北海道出張⑤

朝に目が醒めると枕元のノートに書き綴った数行の文章に目が止まり、その脇に小鳥の絵を描いてある。就寝前にまくらを抱きながら書いていたのだが言葉がまとまらず、つい…

  • 516 view

ハンドドリップレシピ!

自分の味を持つコーヒーを抽出する際に、どうしたら美味しく抽出できるのかを考えてしまうのは当然なのだが、その前にご自身はどんな味わいが好きなのかを知っておくと便…

  • 627 view