1. DIARY
  2. 257 view

雨上がりの午後

カップの中にはコロンビアがなみなみと注がれている。
私にはまだ熱いからしばらく放置して、ちょうど良い温度になったら口にしようと楽しみにしていた。

風が強く吹きつけてきて雷が鳴り始めるとすぐに大粒の雨が激しく降ってきた。子猫のピノは驚いた様子で物陰に走っていってしばらく出てこなかった。強い雨音が室内に降ってくるようで初めは煩すぎたが、そのまましばらく聞き入ってしまった。そして先月四国で買った「美生柑(みうかん)」の皮を剥き、四国でのことを思い出しながらゆっくりと食べた。香りと味わいはグレープフルーツによく似ていて、それよりも甘く、苦味が弱く、皮も薄いので口の中いっぱいに果汁が広がっていく。

あまりに美味しいのもう1つ食べようかと思ったところで、どら焼きがあったことを思い出した。

ここ近年は「どら焼き」や「かりんとう」が好きでよく見つけては食べている。どら焼きは色々なところで食べた。取材先の車中や旅先の道端など、たまにバッグに1個は忍ばせていたりすることもある。

不意に訪れる些細な幸せのように、どら焼きは様々な景色を蘇らせてくれるのだから全く摩訶不思議な食べ物だと愛おしく思う。通りでドラえもんも好きなわけだ。納得。

「美生柑(みうかん)」のあとに「どら焼き」なので食べる順番はバッチリだったが、これが逆であれば美生柑のイメージもここまで良くなかっただろう。食べる順序ってやっぱりあるもんだと色々と想像を巡らした。学生の頃、安いステーキ屋さんでステーキを頼んだ際にアイスクリームを続けて頼んだ時、先にアイスクリームが配膳された時は絶句した。そんなことまで思い出していた。

ところで、カップの中のコロンビアはどうなったのか?と記憶力のいい人もいるかも知れないが、ここまで思い出に浸っているとすっかり冷めているもんだよ。そんな贅沢な定休日の午後だった。

雨音はいつの間にか消え去り、湿気の含む空気が漂ってた。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

自分が住んでいる街について

人と街毎日コーヒーや写真やカレーを追いかけたり追われたりしているのだが、ふと自分はどこへ向かうのかと考えることはしばしばある。自分が育った街に戻ってき…

  • 410 view

言葉の彼方経験を積んだ、若しくは重ね上げた先に広がっていく末に描かれるものはいつだって尊く感じる。一瞬の情景が言葉に変換された時に人の想いが過っていく。素敵な…

  • 241 view

自分作りをしっかりと

過ごしやすくて結構なのだが少し肌寒い日が続いている。高い木の天辺から聞こえてくる美しく元気な声の主は誰だろうと気になったまま時間が過ぎた。お店の玄関先に植えた…

  • 362 view

6月1日

先月末から春ゼミとホトトギスが鳴き始めた。今年はまだアカショウビンは見かけていないけれど、来ないのかなと少し寂しい気持ちでいる。あの澄んで綺麗に響くこだまのような…

  • 408 view

トローリ

香りを探して、質感を探して、もう一度、もう一度。…

  • 637 view

浮かんだ月

ノートに走り書きした文章を読み返して、はて何て書いたかな?と立ち止まる。読み返して思い出せないくらいの戯言だろうとそのまま通り過ぎ仕事を続けることにした。続けるこ…

  • 297 view