磨くということ

  1. DIARY
  2. 220 view

技術を磨くことと自分を磨くこと

焙煎で思うようにいかず悩ましい日々を過ごしていた頃があった。もちろん今だって上手く出来ないこともある。
しかし今思えば、技術というものを追いかけてもそれを駆使する自分ではなかったし、出来上がったものをきちんと評価できなかった。自分でモノづくりをしていてできない理由を広げていったように思う。これができない理由を当時自分を納得させることができた。自分の枠を抜け出すこともしないでよく正当で真っ当なことを口に出していた。それなのに磨けば光ると信じていた。磨き方が悪ければ傷になるだけなのに理想だけは高かった。

誰だって初めは失敗はしたくないと思う。
できると思っていたことが全くできないまま時間が過ぎていくだけに才能を疑う余裕さえあった。自分にはその手の才能がないのかも知れないと落胆した。その頃に才能は平等ではないかもだけど、可能性はきっと平等にあるのだと閃いた一瞬があった。

その日から自分の中では失敗のイメージが変化していった。毎日が実験の日々で楽しかったな。無駄も多かったが経験値は増えたから良しとしてきた。要するに今日より明日の方が可能性が高いということだ。今日ダメだったことを知ったので明日また他の方法で試せるということはワクワクすることだ。結果は同じでも捉え方を変化させた方が前進速度が早いように感じている。伸び代が多い時期にこれをやっておいて損はないと思う。

今朝は焙煎しながらそんな悩ましい日々を思い出したのだ。
失敗は毒ではない。ちょっと飲みにくい栄養剤ってところだ。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

秋模様

9月が過ぎる。そう思って慌てて書き始めるくらいならと、これでも少しは反省している。自分で決めて動くのだけど、その通りにならなさ過ぎてしまうと「やれない理由…

  • 425 view

caffe gita yokote2周年

あっという間の2周年4月10日でcaffe gita yokoteはおかげさまで2周年を迎えることができました。皆様から沢山のご愛顧頂き心より感謝申し上げます。毎…

  • 378 view

考えているうちに冷めたコーヒーの味

雨音を聞きながら本を読んでは涙し、映画を観ては涙する。もう少し若い頃には感じもしないことだった。寒いなと思っていたら駒ケ岳で初冠雪したようだ。里山も紅葉に包まれて…

  • 387 view

昼間の薔薇

薔薇の香り本日はお昼過ぎから打ち合わせがあり出かけていた。打ち合わせ先の近所に素敵な感じに咲いているバラを見つけて嬉々とする。軒下の陰で少し枯れ始めている薔薇に近…

  • 300 view

まるで梅雨時期のようなしっとり加減

ちりちりと咲く紫陽花や落葉など一日中どんよりとしたお天気の中、梅雨時期のようなしっとり加減の気温で時折パラパラと雨が降っている。カップの中には2杯目のコーヒー…

  • 462 view