ある子猫の生涯

  1. DIARY
  2. 428 view

虚無と花

子猫が倒れていた。
目脂と涎で顔は汚れ失禁していて時折思い出したように苦しく深く息をし、まるで嗚咽するかのようだった。
瞳孔は開き血色無く身体は冷たくなっていた。

もう救えないのだなと感じた。
この子の周りには親猫の姿が見えず、一人横たわっている。少し離れたところから毛並みの似た子猫が座って見ていた。そしてそのまま動かなくなった。

もう昨日と同じように蛙や蝶々を追いかけることもできない。
汚れた体を拭きながらタオルに包んだ。とても短い生涯だったと思う。
生まれながらに弱く何も出来ないまま、汚れて死んでしまったこの子に何の罪も無い。

この子は女の子だった。
花を摘み取り、穴の中に花々を敷き詰めた。
すでに硬くなった身体は一旦閉じていた瞳は虚ろな半開きに戻ってしまったが、目元を撫でるとまた瞑った。

少しくらい綺麗にしてあげたかった。
少しの人にも見てもらえたら「私もいたのよ」と言えるのかも知れない。

この子猫の生涯はあのまま終わってしまうのではただただ悲しい。
人知れず隠れるように死んでしまった。
ただ生きているだけでも、走り回ったりするだけで誰かの心を解すことくらい容易に出来る魅力的な子猫だったろう。

しかしそれも身勝手な思考だということも知っている。
だから散歩した。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

寝酒のコーヒー・ピノタージュ

VANZIJL COFFEE PINOTAGE 2013コオロギの鳴き声と言えばいいのか羽を擦る音と言えばいいのか気になって仕方がない。一昨日部下に聞かれて「…

  • 245 view

梅に四十雀

大きめのカップ1杯分の分量GWは気持ちの良い天候に恵まれていて、お花も見頃の様で楽しい連休になっているかと思う。私はちょこまかと5月1日のリニューアルオープン…

  • 254 view

雪降る夜、コーヒーと石焼き芋

甘い香りは共通点だがこだわり抜いたものではなく、ごく普通の石焼き芋とコーヒーを両手に持って窓の外を眺めながらもぐもぐしている時に「甘い香りはどちらもあるけど、…

  • 579 view

動機という力

「動機」という言葉が持つパワー感が凄い。動機の有る無しは結果に作用し、それは欲したところで簡単に手に入る類ではない。何となくでは届かない領域といってもいい…

  • 205 view

夕方に春が待ち遠しい

数日前の夕方は久しぶりに綺麗に晴れて眩しい光を浴びることができた。この季節、日光の温かさはストーブよりも逞しく室内を温めるから好きだ。春が近づくのはなんとも嬉しい気持ちに…

  • 115 view

どこまでも行こう

道は創るものどこまでも行こう 道はきびしくとも 口笛を吹きながら 走って行こうどこまでも行こう 道は険しくとも 幸せが待っている …

  • 302 view