田圃の中で考えたクリエイティビティ

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新しいものを生む想像力

男鹿市五里合にある「こおひい工房 珈音」さんの田んぼで稲刈りをしてきた。
6月下旬から7月下旬の頃に「蛍カフェ」のコラボレーションでお世話になっているのだが、その頃に蛍がたくさん生息しているエリアに珈音さんの田んぼはある。借受けた田んぼを手作業で再生させ「無農薬・無肥料」で米作りに挑戦しているのだ。訪れる度に生育状況を楽しみに見てきたから稲刈りを少しだけでもできたことは本当に嬉しい。手伝い… というよりは邪魔した程度だが、直に手に伝わる稲の感触がある。刈り取られた稲を束ねる時に生命力を感じながら田んぼの中で様々な感情が溢れてきた。

今まで米作りと聞いても暇ひとつピンとこなかったが、稲刈りをしながら田んぼの中で少しずつ自分に変化が起きてくるのだ。それは単純に「どんな味わい」がするのだろう?と、無農薬・無肥料ということはネイティブに育ったお米なのだ。これにあんなカレーやこんなカレーをかけたら… 食べることだけでなく、珈音さんが稲に向けるキラキラとした眼差しがその期待値をさらに底上げしてくれる。

前日の夜にこの日の午後の仕事分を完了させて横手店の店長もお手伝いに来てくれた。
農業には様々な方法や考えがあるのだと思う。専門分野でないので偉そうなことは言えないが決して楽しいだけではない。試行錯誤しても1年で一回の収穫になる。コーヒーであれば1日に何度もチャレンジできることが農業は1回だけだ。1年の課題を翌年にフィードバックしての試行錯誤はドキドキするのだろう。1日の積み重ねが収穫に関わってくることを考えると感慨深い。ましてや気候条件なども関与してくる自然相手の作業になる。土作りや管理、生成、そして調理まで。
こう書くとコーヒー豆に似ていると気付く。まさに生産地ではこのようなことが起きているのだ。

今回は小さな田んぼでどのくらいの収量があるのだろうか。20kg〜30kgはあるのかな。
暗くなるまで刈り込み作業をし、束ね、干し、頭や手を蚊に刺されながら続け、稲を束ねるコツが分かってきてたところで真っ暗になってしまいこの日は終了した。お店に戻るとお肉の差し入れを受けたので皆で料理して食べた。そして珈音さんのお米とgitaのカレーでイベントを作ろうかと話した。

お米は天日乾燥でゆっくり水分を抜くようだ。
まだかまだかと楽しみでならない。

農業を専門にしていない余裕もあってか、田んぼの中で感じたものは「クリエイティビティ」だ。

新しいものを生む想像力を直に伝えられた気がした。
コーヒーの仕事のど真ん中にいると仕事に追われていることもあって、分かっていても作業をこなすばかりになってしまいがちだ。こういう循環が何事にも存在する便利な「できない理由」を作ってしまうのだ。そしていつの間にかそれを正当化してしまう。気が付けばせっかく育て上げたきたクリエイティビティは自分の外に置き去りにしている。戻ろうと思えばできないことはないだろうが、正当化されたできない理由は相当手強い。本来クリエイティビティは積み上げてきた時間や経験値などが高い密度によって生成されているのだ。

自分を信じて進むことでしか得られないものがある。
勇気もいるし、覚悟もいる。

言うは易く行うは難しだ。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

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