ある日のコーヒーの香り

  1. COFFEE
  2. 360 view

秋の夕暮れコーヒー

日が暮れ始めると途端に寒くなってくる。
あっという間に10度くらいまで下がりそろそろストーブの準備をしなくてはと思うこの頃だ。店内は焙煎機の熱気でほんのり温かいのと、香ばしい空気が漂っている。焙煎したものを味見して先日掃除した煙突のことを思う。5〜6年前に一人で煙突掃除をしている時に人差し指を深く切った。軍手の中で温かく感じたくらいで気にならなかったのでそのまま掃除をしていると突然軍手の手首あたりから血が滴り始めた。傷は深く骨で止まったらしいがお医者さんは縫わなくても大丈夫と言い、消毒している間に目の前でダンボールで簡易ギプスのようなものをハサミで作り、そこに人差し指を挟んで包帯を巻いてくれた。お医者さんは濡らすのだけは注意してと言ったが当日からその約束は守れなかった。

コーヒーの香りは色々なことを思い出させてくれる。
それはこういう仕事をしていることもそうだが、コーヒーは色々なところへ溶け込んでいるせいかも知れない。日常の中に溶け込みながら自分の側にいるのだ。その香りと一緒に、何処からともなくいつかの日のことが湧き立つのだ。私にとっては美味しい香りや味わいだけのコーヒーではないのだ。だからこそ、日常的なコーヒーの良さに磨きを掛けたいと思っている。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

野良猫の鼻歌

テクテクと歩き蝶を追いかけたり桜の花びらを追い回していたかと思うとまた何かを見つけたりしている。一見注意散漫にも見えるがそうでもなさそうだ。草むらの中かに体半分くらい…

  • 296 view

寝酒

末廣酒造6月も残すところ2日となった。今月は新しく始めてみたいことなど、いつもより少し早くに行動に移せたことがあって少しづつ前へ進んでいるように思う。来月はもう少して…

  • 334 view

まるで梅雨時期のようなしっとり加減

ちりちりと咲く紫陽花や落葉など一日中どんよりとしたお天気の中、梅雨時期のようなしっとり加減の気温で時折パラパラと雨が降っている。カップの中には2杯目のコーヒー…

  • 407 view

夏至

夏至の日に考える暦の上で季節を表す「夏至」。こう言う季節感を大切にしているのがとても良い。昨日からニイニイゼミが鳴き始めた。森に響くゼミの声も…

  • 277 view

カスタマイズコーヒー

いい加減に草刈りをしなければと思い、外へ出て確かめてみたら思いのほか茂っていて驚いた。ここまで伸びていたら半日はかかるな。夏に向けて草木だって我先にと…

  • 351 view

お盆になると小学校の夏休みを思い出す

夏休み雰囲気が良い仕事を終えてからお墓参りへ出かけた。すっかり暗くなってしまい携帯のライトで足元を照らしながら歩いた。私の家は25代ほど続いておりお墓も数…

  • 363 view