いつも同じでないことへの理解
カップに入ったコーヒーや豆は見た目はなんでも同じように思われていることがまだまだ多いように思う。コンビニやスーパーのコーヒーや、近年たくさん増えてきたコーヒー屋さんやカフェでもコーヒーは気軽に楽しめるようになった。ふらりと立ち寄ったカフェでも美味しいコーヒーが飲めることは出張先においてとても嬉しい限りだ。冒頭で書いた「見た目」が同じというところは、その分野にいると違いを見分けられるが、そうでない方からするとどれも一緒に感じてしまうことは少なくない。
色も形もパッと見たところ「コーヒー豆」に見えてしまうのだが、これは間違いではない。いわゆるイメージするコーヒー豆とそう変わらない実物が目の前に並んでいたら、「どれも同じ」に見てしまうと思う。余裕があれば店頭で豆の形や色を観察してみると結構面白い。コロンと丸い豆やシャープで細長い豆、綺麗な楕円形で厚みが薄かったりぽってりしていたり、様々な違いが見つけられる。これは品種によって豆の形状が異なることがあり慣れてくるとおおよその判断ができるようになり、それをもとに品種による味わいの特徴を理解することもできる。
最上級グレード=味わいの評価ではない
コーヒー豆は各国によってグレードが定められており、グレードにより大粒のものが最上級グレードとして定めている国もある。コーヒー豆のグレードは国によって、スクリーンサイズ(粒の大きさ)、収穫された標高、欠点豆の含有量などがある。ここで見過ごしてしまいがちなのは、グレードは高いのだが味についての評価ではないということ。最上級グレードだから美味しいとは限らないということ。しかしグレードが高いと当然価格も高くなる。
スペシャルティコーヒーの「品質」と「特徴」
スペシャルティコーヒー豆は、このグレードの垣根を飛び越えて味わいに特化したコーヒー豆と考えて欲しい。グレードはあくまで規格であり味わいの評価ではないと先に書いたが、欠点豆の含有量に関してのグレードはそれなりに関与してくるが、スペシャルティコーヒーになると豆の特徴に特化してフォーカスされていく。品質と特徴が混在気味だが「品質」は精製過程や流通過程により鮮度に結び付くように感じている。「特徴」はコーヒー豆の成分に関わるところだが、これは個人的な感覚なので正確性を求められると少々不安に思うところがある。特徴があっても鮮度が落ちていると風味に欠ける。特徴がなくても鮮度が高ければ、それなりに美味しさへ直結して行くのだ。こういう関係性はコーヒーを面白くしている要素の1つだと思っている。
抽出のたびに豆の変化を観察してみる
コーヒー豆の分量を計り、
ミルで挽いた時の香りを確認し、
お湯を注いだ時の香りや膨らみ方を観察する。
毎回同じ表情ではないと思う。
人間のように誰も同じでない様に、コーヒー豆も1粒ずつに違いがあるということ。膨らみ方や香りの変化を観察していくといい。同じコーヒーなのに朝飲んだ時のコーヒーの方が香りが良かったなんてこともある。高品質でしっかりとした焙煎技術があれば、冷めても美味しいコーヒーなのだ。「特徴」は最適な環境の中で活き活きとしてくるはずだ。
選ばれ、選んできたコーヒー豆を自分に合ったメソッドとレシピで楽しく広げていって欲しいと思う。