デスクワークの密かな楽しみ

  1. DIARY
  2. 372 view

隣で店長が今日のメニューを書いていた。なかなかスラスラとペンが走らないようで考えあぐねているようだ。

時折空を見上げ、指の間に万年筆を挟みパタパタさせている。
それを眺めながらそろそろインクが飛び出してあちこちに飛び散らないかと密かに期待していた。

湯沢店のメニューは毎日手書きすることにしていて、そこに私が赤インクで補足したりしている。これが思いの外に評判だったりして、それを楽しみにしてご来店くださる方も増えた。
恥ずかしながら嬉しく思っている。

毎日書くともなれば、これはこれで大変そうでいつの間にか店長は落書き帳を持参し下書きまでしている。
スラスラと書き始めたかと思うと、自分が書いた字が読めなくなったといい、文字を書くという毎日のルーティンを楽しんでいるかにも感じる。書くということは、なかなかに思うようにいかないものだ。彼の中に新しい風穴が空き、清々しい空気が流れ込んでいるのだ。

未だ店長の万年筆からインクが飛び出さないのは幸いだが、12時オープンまでの締め切りが近いことを告げておいた。
限られた時間内で書き上げる原稿用紙1枚分の美しい文章、毎日が渾身の1枚となり増えていく。

いつの日かスラスラと書き綴る文豪店長の姿や、またはインクが飛び散る日などを楽しみにしている。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

来年が幸運でありますように

フィードバックの仕方今年も例年通りにあっという間に年末になった。果たして「あっという間」が良いのか悪いのかは分からないが目紛しく走ってきたように感じている。日…

  • 227 view

朝霧の中で鳴く虫の声

言行不一致1日が素早く過ぎていく感じに追い付けていないのか、または追われているのかどうかなどはどうでもよいのだがとにかくあっという間だ。考える事ばかりで手足が…

  • 245 view

浮かんだ月

ノートに走り書きした文章を読み返して、はて何て書いたかな?と立ち止まる。読み返して思い出せないくらいの戯言だろうとそのまま通り過ぎ仕事を続けることにした。続けるこ…

  • 308 view

秋田で田舎暮らしとコーヒー

私の住む秋田県湯沢市は人口約4万7千人ほどの小さな街だ。コーヒー屋を開業して15年が経った。今でこそスペシャルティコーヒーを知る人は多くなってきたが、当時はそ…

  • 1417 view

抽出というのは何事にも通ずるか?

今日はコーヒー豆をできるだけ細かく挽いてドリップした。できるだけといってもエスプレッソ用までにはいかない程度に留める。単なる気分転換だ。抽出されたコーヒーは味…

  • 387 view

コーヒー生豆の香り

しっかりとしたフルーツ感焙煎後のコーヒー豆の香りは芳しく果実に例えられたりカカオを想起させたり色々とある。生豆の香りはというと、これも果実感が強いものから…

  • 3103 view