デスクワークの密かな楽しみ

  1. DIARY
  2. 373 view

隣で店長が今日のメニューを書いていた。なかなかスラスラとペンが走らないようで考えあぐねているようだ。

時折空を見上げ、指の間に万年筆を挟みパタパタさせている。
それを眺めながらそろそろインクが飛び出してあちこちに飛び散らないかと密かに期待していた。

湯沢店のメニューは毎日手書きすることにしていて、そこに私が赤インクで補足したりしている。これが思いの外に評判だったりして、それを楽しみにしてご来店くださる方も増えた。
恥ずかしながら嬉しく思っている。

毎日書くともなれば、これはこれで大変そうでいつの間にか店長は落書き帳を持参し下書きまでしている。
スラスラと書き始めたかと思うと、自分が書いた字が読めなくなったといい、文字を書くという毎日のルーティンを楽しんでいるかにも感じる。書くということは、なかなかに思うようにいかないものだ。彼の中に新しい風穴が空き、清々しい空気が流れ込んでいるのだ。

未だ店長の万年筆からインクが飛び出さないのは幸いだが、12時オープンまでの締め切りが近いことを告げておいた。
限られた時間内で書き上げる原稿用紙1枚分の美しい文章、毎日が渾身の1枚となり増えていく。

いつの日かスラスラと書き綴る文豪店長の姿や、またはインクが飛び散る日などを楽しみにしている。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

雪国に暮らすということ

春を待つ楽しみ雪国に生まれ育った私はいつの間にか春を待つことが楽しみになっている。「春を待つ」という言葉もいい雰囲気だ。秋の紅葉が終わりを迎える頃に冬支度が少し進んで…

  • 565 view

夏至

夏至の日に考える暦の上で季節を表す「夏至」。こう言う季節感を大切にしているのがとても良い。昨日からニイニイゼミが鳴き始めた。森に響くゼミの声も…

  • 326 view

薔薇が咲いた

お店の玄関先に植えた小さな花の薔薇が今年はたくさん花芽を付けていたので数日の間はソワソワしている。困ったことに伸びてきた新芽はことごとく萎れてしまって、原因は…

  • 428 view

雨の声

雨は物に当たって音がするシトシトと降る雨に音はないのだけど何かに打つかって音がなるということだ。とても心地の良いコラボレーション感じる。単体では声にならな…

  • 188 view

自分作りをしっかりと

過ごしやすくて結構なのだが少し肌寒い日が続いている。高い木の天辺から聞こえてくる美しく元気な声の主は誰だろうと気になったまま時間が過ぎた。お店の玄関先に植えた…

  • 389 view

八月

長梅雨のようで、スパッと晴れる日がない。時折雲が切れて綺麗な空が広がっていると、ついつい嬉しくなってプラプラと出かけては、童心に帰ったように夜道の街灯の下をカ…

  • 494 view