海辺へ

  1. DIARY
  2. 326 view

雨粒の予感を肌に持ちながら海までやって来た。
蚊は耳元をかすめて首から肩の辺りを探って飛んでいるがあまり気にならなかったが、夕方過ぎの海辺は少し涼しくて、そのうちに寒くなった。山里に住む自分には海辺の音はいつも新鮮で聞き入ってしまうが、繰り返す波の音は同じように聞こえているがやはり同じでないなと改めて思う。同じと思い込んでいるうちは何も変わらないのだろうし、日常の中で、そう思っていることは多い。例えばコーヒーの抽出もそうだ。同じ瓶から計量した豆を同じように挽きお湯をかける。どこから違和感を感じ取っていくのかは積み上がったアンテナ次第で異なるのだろう。違和感の誤差を自分で決めて、変化を加えていくことで同じようなものを作るか、少し新しいものへ向かうのか、いつも決めかねてしまう。
いつも一定なものなどそうそうないのだと思う。

あやふやな考えを転がしながら歩いているが、足下でぴょんぴょんと跳ね回っている小さな虫たちは一体何者だ?薄暗い浜辺で見ると砂が弾けているようにも見えるが、考え事している時に足元が賑やか過ぎるとやや気が散る。

自然の動きが穏やかに見えて心地よかった。
梅雨時期の湿った空気が心地よく感じることもあるのだと思ったが、九州地方での雨による被害を聞くと苦しくなる。
年々自然災害の被害が大きくなっているようにも感じる。

秋田では梅雨らしく湿度の高い日が続いて紫陽花が元気に咲いている。
数日前からヒグラシが鳴くようになった。

それではまた。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

早くも秋の夜長の雰囲気のコーヒー

夏から秋へ季節の移り変わりは微妙なニュアンスが大切で、ここからキッパリと線を引かれると困惑する。先日に全国花火競技大会が大仙市で開催されたが、2度の大雨に…

  • 330 view

薔薇が咲いた

お店の玄関先に植えた小さな花の薔薇が今年はたくさん花芽を付けていたので数日の間はソワソワしている。困ったことに伸びてきた新芽はことごとく萎れてしまって、原因は…

  • 348 view

外に出て飲むコーヒーが最高の季節だ

自分で飲むコーヒーは良い意味で適当に飲みたいと思うコーヒー豆をきっちり計って少し粗めに挽いてみる。挽き目はお好みでいい。今日はさらりと口溶けが良く軽や…

  • 337 view

今日春蝉が鳴いた

森の奥の方から聞こえてきた。シャンシャンと響く声を聞いて何やら落ち着かなくなってきた。春蝉が鳴き始める頃、窓を開けると心地よいそよ風が流れ込み、緑がキラキラと…

  • 340 view

ある子猫の生涯

虚無と花子猫が倒れていた。目脂と涎で顔は汚れ失禁していて時折思い出したように苦しく深く息をし、まるで嗚咽するかのようだった。瞳孔は開き血色無く身体は冷…

  • 514 view