当たり前のものから何か生み出せるようになるには

  1. DIARY
  2. 338 view

悶々と力をつけること

熱した片手鍋にスパイスをを放り込むとシュワシュワパチパチと爆ぜながら香りが溢れ出す。玉ねぎを刻んで涙を流し、唐辛子の辛味が空気中に漂い噎せる。そして何を書くのか決まらないままパソコンの前で放心している。運よくタイトルが思いついても上手く書けずにみじめな思いをする。指先にはニンニクと生姜、スパイスの残り香を纏って、カップからはコーヒーの残り香が優しく感じられる。夕方から冷んやりしていて心なしか虫の音も少ない。ちょっと寂しい夜だな。

自分で決めた日課に追われて外の音の変化に寂しさを感じる秋の夜長にようやく三日月が顔を出した。少し外に出て山の端からぽっかり浮かんだ三日月を眺めて自分も何か浮かんだ気がしたが、やっぱり気のせいだった。嫌だ面倒だと言えば望む方向へ進めるのならいいが、それではどこへ行っても変わらない。変わるのは景色くらいだろう。景色が変われば書けるのかと言えば書けるだろうな。その景色が新鮮なうちは。

普通になってからが大変なのさ。当たり前のものから何か生み出せるようになるには目を細めたり開いたり閉じたりしながら悶々と修行のように何かと戦っていかなければいけないのだ。何かというのは多くは自分かも知れぬ。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

雪降る夜、コーヒーと石焼き芋

甘い香りは共通点だがこだわり抜いたものではなく、ごく普通の石焼き芋とコーヒーを両手に持って窓の外を眺めながらもぐもぐしている時に「甘い香りはどちらもあるけど、…

  • 949 view

星空を撮影する時の大敵はズバリ蚊だ!

耳元で囁く蚊の声お盆を過ぎるとすっかり涼しくなった。毎年のことだがどうにも寂しくなる。これは勝手に感傷的になっているので主観的だが夏祭りも、お盆を境界線にして…

  • 670 view

水が流れる音に春を感じる

春の匂いを吸い込み思うこと雪解け水が激しく音を立てて側溝を流れている。その音を聞くと春だなと思うのだ。春の気配はしばらく前からあったのだが、ここしばらくは気温が下…

  • 667 view

言い訳の作られ方

煮詰まった。頭の中で描いては紙に書き出しを繰り返していた。書いているノートの上に子猫にしては大きくなったピノが寝そべったままノートを覆い尽くすほど伸びてこちら…

  • 477 view

蜃気楼のように湧き上がってきた時間

朝から雨が降っていた。昼頃には少しの間土砂降りになったが久しぶりに土の中まで潤ったんじゃないかな。午後には幾らか青空が見えてきたけれど澄んだ空気は冷たくなっていた。周…

  • 434 view

窓ガラスに張り付いた雨蛙

俄雨周囲が暗くなって少し風向きが変わると一気に雨が降り始めると、蝉の声が小さくなり蛙の声に変わっていった。カップの中にはコロンビアとマンデリンで作った…

  • 603 view