忘れ草

  1. DIARY
  2. 244 view

梅雨明け、湯沢、夏のひとり言

梅雨明けして夏になった。
梅雨明けしたら夜は涼しくなり虫の鳴き声が響いている。空の雲は秋のように広がって夏がそろそろ終盤近くに感じるほどだ。小学生の頃の夏休みにセミをつかめに近所のりんご畑に出かけて虫籠いっぱいのセミを取り、お父さんに自慢するとセミが羽化してからの寿命は短いのだよと教わった時の衝撃を思い出す。土の中で長いもので7年と聞く。本当かどうか定かではないが、少なくとも地上で生活するよりは遥かに長い時間を地中で過ごしていると思う。無事に羽化して子孫を残し去っていく。虫籠いっぱいのセミはすぐさま逃した記憶がある。それ以来、セミを追いかけることはなくなった。

濃い赤い色を見ると思い出す。
母親に手を引かれて近所の畦道を散歩した時のことで何かの童謡を口遊んでいた。色と思い出がシンクロしている。人の記憶は言葉にした途端に曖昧になる時がある。その情景をもっと思い出そうとするとどんどん遠くなって霞んでいくから不思議だな。

休日や遊びをおろそかにして仕事に没頭していることが情けなくなる。到底巧くやっているとは思えない感触が否めない。仕事を言い訳にするのは早めにやめようと思う。季節が進む速度が早く感じるのはそこに身を置いていない証かも知れない。

色々と反省し組み立て直し、また崩れてしまう。それでもまた積み上げようとする時に新しい勇気が湧いてくる自分は嫌いじゃない。それに巻き込まれる人には苦労をかけるがいつもと違う景色に出会えるかも知れないからいいだろうと思っている。本当のことに向かうのは楽ではない。

ざらついたものを手で撫でるとその感触が残る。温もりを感じられたらまだ救われる気がする。

遠くで吠えている犬の声や、森から聞こえるヒグラシの声に包まれた自分の環境がある。何もない贅沢な田舎に住んでいる。環境のせいにすれば巧くいかないことの方が多い中、黙して自己の都に変えられる日を進むのがいい。環境にも自分にも限界があるが、ウィットに田舎暮らしを楽しむことで多くを得られる気がする。
 
今日から3日間(8月5日〜7日)我が湯沢市では「七夕絵どうろう祭り」が開催される。盛大に盛り上がって欲しいと願う。その後「日本で最も美しい村」連合 季刊誌の取材があり出張する。夏はあっという間に通過してしまう予感さえあるが、今年は季節の中に身を置いて過ごしたいと思っている。そろそろ帰省する方も多い頃なので素敵な夏休みを感じて頂きたいと思っている。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

6月1日

先月末から春ゼミとホトトギスが鳴き始めた。今年はまだアカショウビンは見かけていないけれど、来ないのかなと少し寂しい気持ちでいる。あの澄んで綺麗に響くこだまのような…

  • 372 view

コーヒーに触れる

スペシャルティコーヒーの楽しさ日本を飛び出して外国へ行く。それは遊びでも仕事でも知らないこと知る近道だ。知れば知るほどに、行けば行くほどに世界は広くなって…

  • 328 view

ある子猫の生涯

虚無と花子猫が倒れていた。目脂と涎で顔は汚れ失禁していて時折思い出したように苦しく深く息をし、まるで嗚咽するかのようだった。瞳孔は開き血色無く身体は冷…

  • 524 view

呼び声

声のする方へクンクン甘えた声がする。カプリは視力が悪くなってきた。耳も遠くなってきた。オンオンと元気に鳴いて私を呼び、お店のドアが開くとピョンピョ…

  • 396 view

雨宿りとコールタール

消えるものと残るもの寒くなって雨音がぽつぽつと聞こえてきた。もう半袖だけでは寒い気温になってきて、里山にも秋が迫って木々の葉も少し紅葉してきている。何かと…

  • 1243 view

薔薇が咲いた

お店の玄関先に植えた小さな花の薔薇が今年はたくさん花芽を付けていたので数日の間はソワソワしている。困ったことに伸びてきた新芽はことごとく萎れてしまって、原因は…

  • 380 view