タコとセロリ

  1. FOOD
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ドアを開けると甘い匂いがした。
何かの花の香りだろうか、とてもいい匂いがしていた。

昨日の激しく降った雨のおかげか空まで澄んで見上げられる。窓から蜂が入り込んできて、目の前をぐるぐる回ってバッグにとまって体を拭いている。しばらくするとまた飛び立ち、目の前をホバリングしてから外へ帰っていった。先日の蜂だったのだろうか。

店長は今日も「ホタルイカ」を買ってきたので、今日もホタルイカのパスタを作る。
小さいお皿にどかっと盛り付けて食べるので見栄えはしないが食べ応えがある気になっていい。毎回同じパスタを作ることは良い実験になっている。つまり、何度も繰り返し作ることで見えてくる視界は広がっていくし、軌道修正も効くようになってくるし、料理は良き勉強法だ。

勉強法だなんて大そうに書いたが、単に賄いパスタの話ではあるけれど、毎日続けていると自分好みの味が作れるよという事と、手際も良くなるもんだと、それは何事でもそうであってそこには「原理原則」が働いているようなもの。それさえ分かれば最初から上手くやろうとするよりも、挑戦する余裕さえ持つことができるんじゃないかな。
失敗なんて、せいぜい同じ失敗を繰り返さないことくらいの気持ちで取り組んでいけば良いのだ。

思い出パスタ2つほど

20代の頃、酒に酔った父がパスタを作ってくれと頼んできたことがあった。
ろくにパスタなんて作ったことがないものだから結果、散々だった。
私の渾身のパスタは酔いが醒めるほど辛くて塩っぱく仕上がり、言うまでもなくそのまま行き場を失ったパスタになった記憶がある。

それからも懲りずにパスタを作ってきたのは、北海道でアウトドアガイドをしていた頃の賄いパスタがしこたま美味しかったからだ。今でもあの「タコとセロリ」のパスタの味を目指して作っている。

何もないところから何かになるまでには、それ相応の時間と経験や失敗が積み重なっているものだ。
目指すものがあればこそ、それを意識して向かうことだね。

それではまた

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

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