先月末から春ゼミとホトトギスが鳴き始めた。今年はまだアカショウビンは見かけていないけれど、来ないのかなと少し寂しい気持ちでいる。あの澄んで綺麗に響くこだまのような鳴き声は毎年の楽しみだからつい窓の外に耳を澄ましてしまう。
早いもので6月になった。
草木は勢い良く生い繁り2回目の草刈りをした。お店の横に植えた薔薇は今年も花芽をたくさん付けているので明後日くらいには咲くのだろう。薔薇を植えて3年目になり少し太くなった根本が頼もしい。
さてコーヒー豆も新豆が届いたり、新しい豆も届いたりと香りにも賑わいが出ている。どこをもって美味いと言えば良いのか悩ましいところではあるけれど、こんな香りも隠れていたのかと自然の恵みに想いを馳せたりしている。どこまでも続いていく細い山道や、砂埃を巻き上げて車内が真っ白になるような乾いた砂利道も私の中ではコーヒーの一幕だ。そんなことを思い出しながら飲んだりしていると、あの車内の匂いまで蘇ってきて思わずむせ返りそうになる。
コーヒーがカップに注がれるまでと同じように、私がコーヒー豆にたどり着くまでも険しかったなと、コーヒーの揺らめきを眺めている感じがする。
たかだかコーヒーのことを考えるたびに、景色や食べ物、会話や笑い声までが聞こえてくる。これらをどう外へ出していくのか、コーヒー豆からだけでなく、もっと自分自身からも抽出をしなければと思っている。コーヒーや写真の仕事を通して様々な経験をさせてもらっているから多角的に視点を移動することが少しはできるようになったと感じているが、なかなか上手く行動できないでいるもどかしさと戦っている。
夜にはカエルは大合唱であり、あまりの音量にまるで宙を浮いているかのような錯覚をしてしまう。
秋田は気持ちの良い季節になった。
それではまた。