寝酒のコーヒー・ピノタージュ

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VANZIJL COFFEE PINOTAGE 2013

コオロギの鳴き声と言えばいいのか羽を擦る音と言えばいいのか気になって仕方がない。一昨日部下に聞かれて「あれは確か羽を擦って音がなっているはずだ」と返事をした。そしたら「すごい!」と。そりゃ人で例えるなら肩甲骨を高速で擦り合わせて情緒的で涼しげな音色を奏でているのだから。そう胸の中で呟いていた。その勝手な胸中の呟きが虫の音にフォーカスされて本当にすごいことだと聴き入ってしまう。メロディもない単調な音色に吸い込まれていく。微妙に音質やリズム?に個性があるように思う。また他の種類の虫の音色が混ざり、果てはウマオイムシのスイーーッチョン!のエンドレスな演奏で戸外はカオティックになる。

草むらの中でも人間界のようにせめぎ合いや権利主張、ときに優しさもあったりするのだろうか。そこに弱肉強食が自然界の掟のようにあるのだろうし、それから逸れるようにニッチな生き方をしている虫たちもいるのだろう。そんな夜更けに古木や薫香のあるワインを飲みながらカオティックな演奏に耳を奪われている。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

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