朝は風が何かにぶつかる音で目覚めた。
時計は6時前で天候が崩れそうな空模様だった。斜里町で宿泊だったので、ここに住む友人のことが気になっていたが前日夜は遅かったので連絡は遠慮していた。彼とは学生の頃に一緒に釣りなどを楽しんだ。それにとても真面目に授業に通っている姿が印象的で、今は目指していた高校の教諭だ。宿を出発前にメッセージを送るとすぐに返信が来た。職場まで来れたら会えると快諾してくれた。すぐにUターンをして向かうと、お土産を買いに走り、変わらぬ笑顔で迎えてくれた。会えば一瞬で学生に戻った感覚で得難いものがある。こちらからは何の手土産もないまま我ながら恥ずかしい。
30分くらいの間だったがとても良い時間を過ごせた。本当にありがとう。
また会うことを決めて別海町へ向かう。
途中、懐かしい名所を何箇所か立ち寄ったがどこも雨が降っている。
摩周湖は霧に包まれていた。神の子池は相変わらず美しく、森に囲まれているのでそれほど雨には濡れなかった。屈斜路湖沿いを走りながら弟子屈へ向かった。
懐かしい虹別。
住んでいた頃の記憶はどんどん美化されたり忘れていたりするが、立ち止まることで何かがどこからか蘇って来る。
丹頂が1羽
夕方前に別海町に着いた。
雨は降りそうで降らない灰色の天気だった。「oncafe」にようやく来れた。今までにも行こう行こうと思いつつ来れないでいたのだ。この「行こう行こう」なんてものは到底いけるものじゃない、「行く」と決めるのが大切なんだと改めて実感する。oncafeの奥山さんは笑顔で迎えてくれた。柔かで気さくな方だ。奥様が美味しいスウィーツを担当しており、地元食材、乳製品をふんだんに使い人気スウィーツを作ってらっしゃる。レモンバターケーキは人気商品でお取り寄せも多いようだ。ぜひお試しあれ。
早速店内で翌日のイベントの打ち合わせをする。
コーヒー豆の分量やスウィーツ提供のタイミング、マリアージュするコーヒーの順序など、短い時間でスイスイと決めていく。
その後は近所の居酒屋さんで夕食をご一緒してくれた。
もう何を食べても美味しくてため息が漏れる。久しぶりの北海道の味わいは第二のソウルフードのようだ。
少しお酒を飲み、お店に戻りながらお話をする。
明日のこと少し心配なところがあるのは、自分が何からどう話せば良いのか決めていないからだ。宿に戻りノートに書き留めながらいつの間にか眠ってしまった。