デスクワークの密かな楽しみ

  1. DIARY
  2. 371 view

隣で店長が今日のメニューを書いていた。なかなかスラスラとペンが走らないようで考えあぐねているようだ。

時折空を見上げ、指の間に万年筆を挟みパタパタさせている。
それを眺めながらそろそろインクが飛び出してあちこちに飛び散らないかと密かに期待していた。

湯沢店のメニューは毎日手書きすることにしていて、そこに私が赤インクで補足したりしている。これが思いの外に評判だったりして、それを楽しみにしてご来店くださる方も増えた。
恥ずかしながら嬉しく思っている。

毎日書くともなれば、これはこれで大変そうでいつの間にか店長は落書き帳を持参し下書きまでしている。
スラスラと書き始めたかと思うと、自分が書いた字が読めなくなったといい、文字を書くという毎日のルーティンを楽しんでいるかにも感じる。書くということは、なかなかに思うようにいかないものだ。彼の中に新しい風穴が空き、清々しい空気が流れ込んでいるのだ。

未だ店長の万年筆からインクが飛び出さないのは幸いだが、12時オープンまでの締め切りが近いことを告げておいた。
限られた時間内で書き上げる原稿用紙1枚分の美しい文章、毎日が渾身の1枚となり増えていく。

いつの日かスラスラと書き綴る文豪店長の姿や、またはインクが飛び散る日などを楽しみにしている。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

雨上がりの午後カップの中にはコロンビアがなみなみと注がれている。私にはまだ熱いからしばらく放置して、ちょうど良い温度になったら口にしようと楽しみにしていた。…

  • 272 view

コーヒーをひとくち

希薄さなんてものが丁度良かったりする時代なのか、それなりに満たされて過ごしているんだなと感じる。憂いているとか、嘆いているの類ではなく、何だか物足りなくて面白くない。…

  • 373 view

雨宿りとコールタール

消えるものと残るもの寒くなって雨音がぽつぽつと聞こえてきた。もう半袖だけでは寒い気温になってきて、里山にも秋が迫って木々の葉も少し紅葉してきている。何かと…

  • 1556 view

本日の湯沢店、白黒写真

DxO FilmPack 5本日の湯沢店、大忙しだったけど楽しかった。合間に撮った写真をフィルムシミュレーションでハイコントラスな白黒写真に。…

  • 459 view

ホトトギスの初音

育ちが早い草があっという間に背丈を追い越した。視界を遮るように生い茂っている。そろそろ草刈りをしなきゃと思いつつ、これがわかっていても何かのせいにして…

  • 863 view

呼び声

声のする方へクンクン甘えた声がする。カプリは視力が悪くなってきた。耳も遠くなってきた。オンオンと元気に鳴いて私を呼び、お店のドアが開くとピョンピョ…

  • 418 view