デスクワークの密かな楽しみ

  1. DIARY
  2. 348 view

隣で店長が今日のメニューを書いていた。なかなかスラスラとペンが走らないようで考えあぐねているようだ。

時折空を見上げ、指の間に万年筆を挟みパタパタさせている。
それを眺めながらそろそろインクが飛び出してあちこちに飛び散らないかと密かに期待していた。

湯沢店のメニューは毎日手書きすることにしていて、そこに私が赤インクで補足したりしている。これが思いの外に評判だったりして、それを楽しみにしてご来店くださる方も増えた。
恥ずかしながら嬉しく思っている。

毎日書くともなれば、これはこれで大変そうでいつの間にか店長は落書き帳を持参し下書きまでしている。
スラスラと書き始めたかと思うと、自分が書いた字が読めなくなったといい、文字を書くという毎日のルーティンを楽しんでいるかにも感じる。書くということは、なかなかに思うようにいかないものだ。彼の中に新しい風穴が空き、清々しい空気が流れ込んでいるのだ。

未だ店長の万年筆からインクが飛び出さないのは幸いだが、12時オープンまでの締め切りが近いことを告げておいた。
限られた時間内で書き上げる原稿用紙1枚分の美しい文章、毎日が渾身の1枚となり増えていく。

いつの日かスラスラと書き綴る文豪店長の姿や、またはインクが飛び散る日などを楽しみにしている。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

夏になってきた

ミヤマクワガタお店のドアに張り付いてゆっくり動いている。毎年6月中旬くらいにクワガタを見かけているので梅雨前の夏の始まりを感じる。この時期の気候がとても好きで…

  • 298 view

春景色のゴールデンウィーク

GWも後半すっかり春景色に包まれた湯沢市もGWで帰省中の方々が多く訪れている。心なしかGWに桜は間に合ったものの散るのが早いかとも感じたが、この儚さも美し…

  • 837 view

ある日の森

クマがやって来た早いもので9月も終わりかけになった。8月の暑さはお盆前からの長雨で穏やかになって夏は急に大人しくなっていった。それでも時折の晴れ間にはミンミン…

  • 473 view

雨上がりの午後カップの中にはコロンビアがなみなみと注がれている。私にはまだ熱いからしばらく放置して、ちょうど良い温度になったら口にしようと楽しみにしていた。…

  • 256 view

田圃の中で考えたクリエイティビティ

新しいものを生む想像力男鹿市五里合にある「こおひい工房 珈音」さんの田んぼで稲刈りをしてきた。6月下旬から7月下旬の頃に「蛍カフェ」のコラボレーション…

  • 392 view

雨の音が好き

屋根に落ちる雨粒の音予め断っておくが多少酔っている。本日のお酒は、富山県の「MASUIZUMI」というお酒。とても綺麗な味があり透き通ったお水のようだ。…

  • 385 view