言い訳の作られ方

  1. DIARY
  2. 406 view

煮詰まった。
頭の中で描いては紙に書き出しを繰り返していた。

書いているノートの上に子猫にしては大きくなったピノが寝そべったままノートを覆い尽くすほど伸びてこちらを見ている。
腹が立ったかと言えばそうでもない。

少々クールダウンをしようと外へ出た。
夜空にはキラリと強く光る星が見えたが、あれはきっと金星だろう。

コンビニへ寄って買ってきたのは強そうだったから「しろくま」にした。
買ってきたは良いがこんな大きいの食べるのかと、頭を冷やすなら飲み物でも良かったのに。
食べ始めると頭がキンキン痛むし寒かった。

「しろくま」を体内に取り入れると多少は強くなれた気がする。

確かあれは数年前に熊本へ取材した帰りに立ち寄った鹿児島だ。鹿児島へ着いたら雪が降っていた。
夜には飲みなれない焼酎の美味しさに目が覚めた。飲み方ってあるんだなって思う。

少し酔いながら取材でのことを思い返し、うまく撮影できなかったことに対して言い訳がましいことを考えていた。ただそれがとても嫌な気持ちになってしまったのを憶えている。そういうのは何かの理由にして結果を受け止めないってことで、こんな筈じゃなかったなどとほざくくらいでしか抵抗できない表れに似ている。それではとても仕事は務まらんよ、言い訳もほどほどに、とそう自分に言う他ない。

何でも上手くやろうとする自分と、挑戦しようとする自分が共存していてそれはどこかで矛盾してくる。自分の中で失敗の見え方が違ってしまうのだ。それが右往左往しているうちに言い訳となるわけだと。

そういうちょぴっとほろ苦いことを思い出した。

今日は「しろくま」さんのおかげでどうでも良いことを書く勇気をもらった気がする。また鹿児島へ行ってお礼を言わねば。
皆さんも行き詰まったら「しろくま」を食べてみると良い。たちまちに何かが動き出すことと思う。

それではまた。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

いつか誰かの言葉が目覚める日

ハッとさせられる頭の片隅に置かれて埃を被っていたかのように、そういえばそんなこと話したなと思い出す。あの時話した中に印象に残っていた言葉の埃を払ってみる。シン…

  • 260 view

雨の音が好き

屋根に落ちる雨粒の音予め断っておくが多少酔っている。本日のお酒は、富山県の「MASUIZUMI」というお酒。とても綺麗な味があり透き通ったお水のようだ。…

  • 373 view

雨上がりの午後カップの中にはコロンビアがなみなみと注がれている。私にはまだ熱いからしばらく放置して、ちょうど良い温度になったら口にしようと楽しみにしていた。…

  • 240 view

薔薇が咲いた

お店の玄関先に植えた小さな花の薔薇が今年はたくさん花芽を付けていたので数日の間はソワソワしている。困ったことに伸びてきた新芽はことごとく萎れてしまって、原因は…

  • 348 view

落ち葉とコーヒーの香り

空気が冷たくて気持ちがいい夕方の散歩が日課になりつつあって歩くとこんなにも寒くなったかと夏を思い返す。夏の酷暑を思い出そうとするのだが、なかなか出てこない…

  • 426 view

梅雨明け

いつの間にか7月が終わって、梅雨も明けていたようだ。日差しが強くてもカラカラとした天気で過ごしやすかった。いよいよ夏の真ん中に入ってきたのだけど、もう1ヶ月もした…

  • 226 view