思い入れのあるマンデリン
タイトルが壮大だが、何てことはない、焙煎が上手く仕上がって嬉々としているのだ。
マンデリンに限らずだが思い入れが強くある。
マンデリンの香りを吸い込むとインドネシアへ行った時のことが瞬時に蘇ってくる。肌に纏わり付くアジアの熱気にむせ返りながらバスの中はキツめの冷房が効いている。夜になっても賑やかな街は日本の都会とは違う高揚感があった。
バスで7〜9時間ほど走り、小さな農園に辿り着くとフカフカの腐葉土たっぷりの森の中を歩いた。聞きなれない鳥の声や虫の音が、顔にまとわりつく小さな羽虫が、いまではどれもが自分のコーヒーの臨場感を担っている。
街の喧騒も、鳥や虫の声も、不快な羽虫たち、森の香りは土や木や、花、果物の折り重なる複雑味の強い凝縮された香りがマンデリンだ。ジューシーな酸味が綺麗に流れていくのが心地よい。自分にとってのコーヒーに敷かれたレールもセオリーもない。それらは自分で創り上げていくものだと思う。
そんな解き放たれたコーヒーには浪漫を感じる。
毎回同じではない表情を見せるコーヒー。話しかけようが、触ってみても返事はしてくれないが、よくよく観察していくとサインは出してくれている。
自由に接することで多くの切り口を持てる懐深いところもある。
面白い。