自分の味を持つ
コーヒーを抽出する際に、どうしたら美味しく抽出できるのかを考えてしまうのは当然なのだが、その前にご自身はどんな味わいが好きなのかを知っておくと便利だ。「濃い・薄い」や「苦味・酸味」のどちらの方かをざっくりと考えて欲しい。「濃い・薄い」は抽出でコントロールできる範囲が広いが、「苦味・酸味」は焙煎度合やコーヒー豆の種類で選んだ方が良いと思う。しかし、これはなかなか難しいこともあって自分のことになると上手く見付けられないことも少なくない。
「濃い・薄い」→ 抽出でコントロール可能(豆量・時間・粒度)
「苦味・酸味」→ コーヒー豆の焙煎度合や産地・品種で選択可能
例えばブラジルが好きで〜という方のリクエストにお応えする時、以前は「どのような焙煎度合」で「どんな印象のコーヒー」だったかを伝えて頂くといい。コーヒーには生産地の特徴もあるが、品種別での味わい特性や焙煎による味わいの違いもあるので、どこをどう伝えたら良いのかは難しいところでもある。自分に合わない味わいの場合は、美味しさの基準がない分、成功なのか失敗なのか判断がつかないまま何となく飲みやすいコーヒーにしてしまうことが多い。ハンドドリップは自分にあった味わいを狙ってコントロールしていく楽しみがある。そのためには好きな味を知っていることが何よりも上達につながると考えている。「美味しさ」はそのままでは目に見えない箇所もあり、自分のレシピによって引き出されていくことを頭の隅にでも置いて頂くと咄嗟に修正が効くようになると思う。
コーヒー豆の品質の良さの指標は「味の綺麗さ」や「質感」に顕著に表れることが多い。香りは高い低いはあれど「個性」だと思う。この両方を備えているなら一般的には価格もそれに値する。お気に入りのコーヒー豆に出会えたら、さらに自分好みのコーヒーに仕上げていって欲しいのだ。そのためにはドリップのレシピ作りが大切になる。レシピは簡単で構わないので、最初はコーヒー豆の分量をきちんと測り、湯温もできれば知っておきたい、そして抽出時間を計る。こうすることで大雑把でもレシピの土台が出来上がる。これを基準にして抽出時間などから変化させていくと味作りはしやすいと思う。
1、コーヒー豆銘柄 分量
2、湯温
3、抽出時間
ここから自分のコーヒー作りが始まるのだと思う。
コーヒーメーカーでは分量と挽き目、抽出量である程度対応可能だと思う。
生産地では様々なコーヒーの品種が栽培されており色々な特性がある。信頼できるお店とのコミュニケーションもコーヒーの世界を広げてくれると思う。どんなコーヒーを取り扱い、それはどんなコーヒーなのかを聞き、その豆の何を引き出しているのかをしっかりと聞いてみるのも面白いと思う。焙煎や抽出だけに傾倒しているお店は少なくないが、ご購入された方がコントロールする楽しさを味わって欲しいと思う。楽しさは美味しさへ繋がり、面白さはコーヒーを広げてくれると思う。私一人では完了できないご購入された方との共同作業に似たものに思える。