コーヒーを飲みたくなって大抵手が伸びるのはコロンビアだ。こればかりは20年近く変わっていない。
どうしてか。
自分でも分からないでいるが、コロンビアの持つ安心感のある味わいが落ち着くのか、どこか味と香りだけではないような、これだと決められないものがあると思う。まるで何かあった時に、ふと考えてしまう人のようである。そういう心の友に似た存在だろうか。なかなかそういう類な人はいないものだから、コロンビアは私にとってはそういう類の希少なコーヒー豆なのかも知れない。
優しくて、サラリとしていて、丸くて、軽くもない、穏やかな、そんな気分にしてくれる。それはまるで傍で昼寝をしながら尻尾をヒラヒラと振り回している猫のようだ。見ていて堪らず手を伸ばすと、寝てるものかと言わんばかりに齧り付く。。なんて穏やかな午後なのだと、そんな妄想すらさせられる。若しくは、切なそうに鳴きながらデスクに上り、さては寂しいんだなと近寄るとパソコンのマウスをポイっと床へ落としてみたりする。そんな得も言われぬ複雑な感情が湧き上がり、乱心と慈しみが溶けていく不思議な夜だったりだ。いったい何の話だ。
とにかくそういう心の安寧を促すコーヒー豆が、私にはコロンビアなのだろう。
【写真はコロンビア郊外】
またコロンビアへ行きたいな。
それではまた。