田圃の中で考えたクリエイティビティ

  1. DIARY
  2. 426 view

新しいものを生む想像力

男鹿市五里合にある「こおひい工房 珈音」さんの田んぼで稲刈りをしてきた。
6月下旬から7月下旬の頃に「蛍カフェ」のコラボレーションでお世話になっているのだが、その頃に蛍がたくさん生息しているエリアに珈音さんの田んぼはある。借受けた田んぼを手作業で再生させ「無農薬・無肥料」で米作りに挑戦しているのだ。訪れる度に生育状況を楽しみに見てきたから稲刈りを少しだけでもできたことは本当に嬉しい。手伝い… というよりは邪魔した程度だが、直に手に伝わる稲の感触がある。刈り取られた稲を束ねる時に生命力を感じながら田んぼの中で様々な感情が溢れてきた。

今まで米作りと聞いても暇ひとつピンとこなかったが、稲刈りをしながら田んぼの中で少しずつ自分に変化が起きてくるのだ。それは単純に「どんな味わい」がするのだろう?と、無農薬・無肥料ということはネイティブに育ったお米なのだ。これにあんなカレーやこんなカレーをかけたら… 食べることだけでなく、珈音さんが稲に向けるキラキラとした眼差しがその期待値をさらに底上げしてくれる。

前日の夜にこの日の午後の仕事分を完了させて横手店の店長もお手伝いに来てくれた。
農業には様々な方法や考えがあるのだと思う。専門分野でないので偉そうなことは言えないが決して楽しいだけではない。試行錯誤しても1年で一回の収穫になる。コーヒーであれば1日に何度もチャレンジできることが農業は1回だけだ。1年の課題を翌年にフィードバックしての試行錯誤はドキドキするのだろう。1日の積み重ねが収穫に関わってくることを考えると感慨深い。ましてや気候条件なども関与してくる自然相手の作業になる。土作りや管理、生成、そして調理まで。
こう書くとコーヒー豆に似ていると気付く。まさに生産地ではこのようなことが起きているのだ。

今回は小さな田んぼでどのくらいの収量があるのだろうか。20kg〜30kgはあるのかな。
暗くなるまで刈り込み作業をし、束ね、干し、頭や手を蚊に刺されながら続け、稲を束ねるコツが分かってきてたところで真っ暗になってしまいこの日は終了した。お店に戻るとお肉の差し入れを受けたので皆で料理して食べた。そして珈音さんのお米とgitaのカレーでイベントを作ろうかと話した。

お米は天日乾燥でゆっくり水分を抜くようだ。
まだかまだかと楽しみでならない。

農業を専門にしていない余裕もあってか、田んぼの中で感じたものは「クリエイティビティ」だ。

新しいものを生む想像力を直に伝えられた気がした。
コーヒーの仕事のど真ん中にいると仕事に追われていることもあって、分かっていても作業をこなすばかりになってしまいがちだ。こういう循環が何事にも存在する便利な「できない理由」を作ってしまうのだ。そしていつの間にかそれを正当化してしまう。気が付けばせっかく育て上げたきたクリエイティビティは自分の外に置き去りにしている。戻ろうと思えばできないことはないだろうが、正当化されたできない理由は相当手強い。本来クリエイティビティは積み上げてきた時間や経験値などが高い密度によって生成されているのだ。

自分を信じて進むことでしか得られないものがある。
勇気もいるし、覚悟もいる。

言うは易く行うは難しだ。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

いつかの空、いつかのコーヒー

燃えるような空はあっという間に燻んで冷めていった。早くも10月は終盤を迎えてしまい、紅葉は里山までに降りてきた。こちらの記事の更新では、あれよこれよといい加減…

  • 499 view

今日春蝉が鳴いた

森の奥の方から聞こえてきた。シャンシャンと響く声を聞いて何やら落ち着かなくなってきた。春蝉が鳴き始める頃、窓を開けると心地よいそよ風が流れ込み、緑がキラキラと…

  • 399 view

抽出されたコーヒーの中には

たくさんの人の手遅ればせながら「A FILM ABOUT COFFEE」を観た。生産地へ訪問し始めてから見てきたものが画面に映っていた。知らない内に色々な体験をさせて…

  • 438 view

星空を撮影する時の大敵はズバリ蚊だ!

耳元で囁く蚊の声お盆を過ぎるとすっかり涼しくなった。毎年のことだがどうにも寂しくなる。これは勝手に感傷的になっているので主観的だが夏祭りも、お盆を境界線にして…

  • 692 view

コーヒー生豆の香り

しっかりとしたフルーツ感焙煎後のコーヒー豆の香りは芳しく果実に例えられたりカカオを想起させたり色々とある。生豆の香りはというと、これも果実感が強いものから…

  • 3110 view

早くも秋の夜長の雰囲気のコーヒー

夏から秋へ季節の移り変わりは微妙なニュアンスが大切で、ここからキッパリと線を引かれると困惑する。先日に全国花火競技大会が大仙市で開催されたが、2度の大雨に…

  • 413 view