磨くということ

  1. DIARY
  2. 221 view

技術を磨くことと自分を磨くこと

焙煎で思うようにいかず悩ましい日々を過ごしていた頃があった。もちろん今だって上手く出来ないこともある。
しかし今思えば、技術というものを追いかけてもそれを駆使する自分ではなかったし、出来上がったものをきちんと評価できなかった。自分でモノづくりをしていてできない理由を広げていったように思う。これができない理由を当時自分を納得させることができた。自分の枠を抜け出すこともしないでよく正当で真っ当なことを口に出していた。それなのに磨けば光ると信じていた。磨き方が悪ければ傷になるだけなのに理想だけは高かった。

誰だって初めは失敗はしたくないと思う。
できると思っていたことが全くできないまま時間が過ぎていくだけに才能を疑う余裕さえあった。自分にはその手の才能がないのかも知れないと落胆した。その頃に才能は平等ではないかもだけど、可能性はきっと平等にあるのだと閃いた一瞬があった。

その日から自分の中では失敗のイメージが変化していった。毎日が実験の日々で楽しかったな。無駄も多かったが経験値は増えたから良しとしてきた。要するに今日より明日の方が可能性が高いということだ。今日ダメだったことを知ったので明日また他の方法で試せるということはワクワクすることだ。結果は同じでも捉え方を変化させた方が前進速度が早いように感じている。伸び代が多い時期にこれをやっておいて損はないと思う。

今朝は焙煎しながらそんな悩ましい日々を思い出したのだ。
失敗は毒ではない。ちょっと飲みにくい栄養剤ってところだ。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

雨宿りとコールタール

消えるものと残るもの寒くなって雨音がぽつぽつと聞こえてきた。もう半袖だけでは寒い気温になってきて、里山にも秋が迫って木々の葉も少し紅葉してきている。何かと…

  • 1372 view

梅に四十雀

大きめのカップ1杯分の分量GWは気持ちの良い天候に恵まれていて、お花も見頃の様で楽しい連休になっているかと思う。私はちょこまかと5月1日のリニューアルオープン…

  • 325 view

雨上がりの湿った光

パラパラと落ちてくるくらいの雨上がりに日差しが戻ってくるとほんのり蒸し暑くなった。そのタイミングで蚊が飛んできてひと刺し狙ってくるがその手には乗るものか。…

  • 416 view

大晦日

そうそう忙しくないのに、追われていたことに気付くと大晦日だ。先週の大雪では毎日除雪に追われて仕事も後回しにな李、今朝も昨日からの雪に呑み込まれている。年末の慌…

  • 434 view

八月

長梅雨のようで、スパッと晴れる日がない。時折雲が切れて綺麗な空が広がっていると、ついつい嬉しくなってプラプラと出かけては、童心に帰ったように夜道の街灯の下をカ…

  • 462 view