ある子猫の生涯

  1. DIARY
  2. 555 view

虚無と花

子猫が倒れていた。
目脂と涎で顔は汚れ失禁していて時折思い出したように苦しく深く息をし、まるで嗚咽するかのようだった。
瞳孔は開き血色無く身体は冷たくなっていた。

もう救えないのだなと感じた。
この子の周りには親猫の姿が見えず、一人横たわっている。少し離れたところから毛並みの似た子猫が座って見ていた。そしてそのまま動かなくなった。

もう昨日と同じように蛙や蝶々を追いかけることもできない。
汚れた体を拭きながらタオルに包んだ。とても短い生涯だったと思う。
生まれながらに弱く何も出来ないまま、汚れて死んでしまったこの子に何の罪も無い。

この子は女の子だった。
花を摘み取り、穴の中に花々を敷き詰めた。
すでに硬くなった身体は一旦閉じていた瞳は虚ろな半開きに戻ってしまったが、目元を撫でるとまた瞑った。

少しくらい綺麗にしてあげたかった。
少しの人にも見てもらえたら「私もいたのよ」と言えるのかも知れない。

この子猫の生涯はあのまま終わってしまうのではただただ悲しい。
人知れず隠れるように死んでしまった。
ただ生きているだけでも、走り回ったりするだけで誰かの心を解すことくらい容易に出来る魅力的な子猫だったろう。

しかしそれも身勝手な思考だということも知っている。
だから散歩した。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

831

夏はそろそろ後ろ姿を見せているように感じる。長梅雨はこれでもかというほどに雲を覆いかぶせていたものの猛暑に切り替えてきた。とは言え、朝夕の気温はお盆を越えて穏…

  • 477 view

夏至

夏至の日に考える暦の上で季節を表す「夏至」。こう言う季節感を大切にしているのがとても良い。昨日からニイニイゼミが鳴き始めた。森に響くゼミの声も…

  • 330 view

秋模様

9月が過ぎる。そう思って慌てて書き始めるくらいならと、これでも少しは反省している。自分で決めて動くのだけど、その通りにならなさ過ぎてしまうと「やれない理由…

  • 453 view

春の匂い

面白さと難しさは共生している先日春先の東京へ行ってきた。雪解けがぐんと進んで土や木々の芽などの動きも活発になってそれらが混ざり春の匂いが増している。春の匂…

  • 293 view

ホトトギスの初音

育ちが早い草があっという間に背丈を追い越した。視界を遮るように生い茂っている。そろそろ草刈りをしなきゃと思いつつ、これがわかっていても何かのせいにして…

  • 870 view