ある子猫の生涯

  1. DIARY
  2. 552 view

虚無と花

子猫が倒れていた。
目脂と涎で顔は汚れ失禁していて時折思い出したように苦しく深く息をし、まるで嗚咽するかのようだった。
瞳孔は開き血色無く身体は冷たくなっていた。

もう救えないのだなと感じた。
この子の周りには親猫の姿が見えず、一人横たわっている。少し離れたところから毛並みの似た子猫が座って見ていた。そしてそのまま動かなくなった。

もう昨日と同じように蛙や蝶々を追いかけることもできない。
汚れた体を拭きながらタオルに包んだ。とても短い生涯だったと思う。
生まれながらに弱く何も出来ないまま、汚れて死んでしまったこの子に何の罪も無い。

この子は女の子だった。
花を摘み取り、穴の中に花々を敷き詰めた。
すでに硬くなった身体は一旦閉じていた瞳は虚ろな半開きに戻ってしまったが、目元を撫でるとまた瞑った。

少しくらい綺麗にしてあげたかった。
少しの人にも見てもらえたら「私もいたのよ」と言えるのかも知れない。

この子猫の生涯はあのまま終わってしまうのではただただ悲しい。
人知れず隠れるように死んでしまった。
ただ生きているだけでも、走り回ったりするだけで誰かの心を解すことくらい容易に出来る魅力的な子猫だったろう。

しかしそれも身勝手な思考だということも知っている。
だから散歩した。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

動機という力

「動機」という言葉が持つパワー感が凄い。動機の有る無しは結果に作用し、それは欲したところで簡単に手に入る類ではない。何となくでは届かない領域といってもいい…

  • 362 view

夜空に白い渡り鳥が鳴く

食べ尽くすのではなく、食べ歩きをするということ11月になった。朝晩の冷え込みが増してきた。そろそろ薄氷が張るのかどうなのか、里では紅葉も見頃になった。午後15…

  • 1378 view

夏になってきた

ミヤマクワガタお店のドアに張り付いてゆっくり動いている。毎年6月中旬くらいにクワガタを見かけているので梅雨前の夏の始まりを感じる。この時期の気候がとても好きで…

  • 317 view

台風18号

風の音が響く台風18号の影響で風が轟々と鳴り響いている。時折突風が吹きトタンの隙間に風が入るとバンバンと大きな音を立てている。雨はまだ小ぶりだが横から降ってく…

  • 217 view

コーヒーの香りで旅気分

香りで思い出す景色いざ生産国へ行くとなると緊張気味になる。どんなところでコーヒーが育っているのか、どんなコーヒーが待っているのか楽しみでならないのだが。しかし…

  • 331 view

海辺へ

雨粒の予感を肌に持ちながら海までやって来た。蚊は耳元をかすめて首から肩の辺りを探って飛んでいるがあまり気にならなかったが、夕方過ぎの海辺は少し涼しくて、そのう…

  • 365 view