ある子猫の生涯

  1. DIARY
  2. 530 view

虚無と花

子猫が倒れていた。
目脂と涎で顔は汚れ失禁していて時折思い出したように苦しく深く息をし、まるで嗚咽するかのようだった。
瞳孔は開き血色無く身体は冷たくなっていた。

もう救えないのだなと感じた。
この子の周りには親猫の姿が見えず、一人横たわっている。少し離れたところから毛並みの似た子猫が座って見ていた。そしてそのまま動かなくなった。

もう昨日と同じように蛙や蝶々を追いかけることもできない。
汚れた体を拭きながらタオルに包んだ。とても短い生涯だったと思う。
生まれながらに弱く何も出来ないまま、汚れて死んでしまったこの子に何の罪も無い。

この子は女の子だった。
花を摘み取り、穴の中に花々を敷き詰めた。
すでに硬くなった身体は一旦閉じていた瞳は虚ろな半開きに戻ってしまったが、目元を撫でるとまた瞑った。

少しくらい綺麗にしてあげたかった。
少しの人にも見てもらえたら「私もいたのよ」と言えるのかも知れない。

この子猫の生涯はあのまま終わってしまうのではただただ悲しい。
人知れず隠れるように死んでしまった。
ただ生きているだけでも、走り回ったりするだけで誰かの心を解すことくらい容易に出来る魅力的な子猫だったろう。

しかしそれも身勝手な思考だということも知っている。
だから散歩した。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

コーヒーをひとくち

希薄さなんてものが丁度良かったりする時代なのか、それなりに満たされて過ごしているんだなと感じる。憂いているとか、嘆いているの類ではなく、何だか物足りなくて面白くない。…

  • 361 view

2019

年が明けて思うこと多し年が明けてお正月だ。それぞれに過ごす楽しいことも多い時期かも知れないな。私てきにはいつもと変わらないお正月になっている。コ…

  • 531 view

秋模様

9月が過ぎる。そう思って慌てて書き始めるくらいならと、これでも少しは反省している。自分で決めて動くのだけど、その通りにならなさ過ぎてしまうと「やれない理由…

  • 429 view

梅に四十雀

大きめのカップ1杯分の分量GWは気持ちの良い天候に恵まれていて、お花も見頃の様で楽しい連休になっているかと思う。私はちょこまかと5月1日のリニューアルオープン…

  • 327 view

コーヒーについて

10月に入り朝と夜は寒くなった。そろそろストーブに火を着けたいと悩んでしまう気温だ。だから長袖を着て机に向かっている。先日、久しぶりに神戸へ行きコーヒ…

  • 554 view