ある子猫の生涯

  1. DIARY
  2. 535 view

虚無と花

子猫が倒れていた。
目脂と涎で顔は汚れ失禁していて時折思い出したように苦しく深く息をし、まるで嗚咽するかのようだった。
瞳孔は開き血色無く身体は冷たくなっていた。

もう救えないのだなと感じた。
この子の周りには親猫の姿が見えず、一人横たわっている。少し離れたところから毛並みの似た子猫が座って見ていた。そしてそのまま動かなくなった。

もう昨日と同じように蛙や蝶々を追いかけることもできない。
汚れた体を拭きながらタオルに包んだ。とても短い生涯だったと思う。
生まれながらに弱く何も出来ないまま、汚れて死んでしまったこの子に何の罪も無い。

この子は女の子だった。
花を摘み取り、穴の中に花々を敷き詰めた。
すでに硬くなった身体は一旦閉じていた瞳は虚ろな半開きに戻ってしまったが、目元を撫でるとまた瞑った。

少しくらい綺麗にしてあげたかった。
少しの人にも見てもらえたら「私もいたのよ」と言えるのかも知れない。

この子猫の生涯はあのまま終わってしまうのではただただ悲しい。
人知れず隠れるように死んでしまった。
ただ生きているだけでも、走り回ったりするだけで誰かの心を解すことくらい容易に出来る魅力的な子猫だったろう。

しかしそれも身勝手な思考だということも知っている。
だから散歩した。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

蜃気楼のように湧き上がってきた時間

朝から雨が降っていた。昼頃には少しの間土砂降りになったが久しぶりに土の中まで潤ったんじゃないかな。午後には幾らか青空が見えてきたけれど澄んだ空気は冷たくなっていた。周…

  • 421 view

梅に四十雀

大きめのカップ1杯分の分量GWは気持ちの良い天候に恵まれていて、お花も見頃の様で楽しい連休になっているかと思う。私はちょこまかと5月1日のリニューアルオープン…

  • 331 view

カリントスキー

思い出したように食べ始めるひっそりと隠していたわけではないが小さい頃から「かりんとう」が好きなのだ。なんと言えば良いか、絶妙なバランスと味わいなのだ。黒糖の香…

  • 288 view

早くも秋の夜長の雰囲気のコーヒー

夏から秋へ季節の移り変わりは微妙なニュアンスが大切で、ここからキッパリと線を引かれると困惑する。先日に全国花火競技大会が大仙市で開催されたが、2度の大雨に…

  • 383 view

8月

暑くも寒くもない梅雨入り前のほんのわずかな季節も良かった。あっという間と言ってしまえば簡単に時間を飛ばせてしまうが、あっという間と言えないほどの良い時間を過ご…

  • 377 view

台風18号

風の音が響く台風18号の影響で風が轟々と鳴り響いている。時折突風が吹きトタンの隙間に風が入るとバンバンと大きな音を立てている。雨はまだ小ぶりだが横から降ってく…

  • 204 view