ある子猫の生涯

  1. DIARY
  2. 532 view

虚無と花

子猫が倒れていた。
目脂と涎で顔は汚れ失禁していて時折思い出したように苦しく深く息をし、まるで嗚咽するかのようだった。
瞳孔は開き血色無く身体は冷たくなっていた。

もう救えないのだなと感じた。
この子の周りには親猫の姿が見えず、一人横たわっている。少し離れたところから毛並みの似た子猫が座って見ていた。そしてそのまま動かなくなった。

もう昨日と同じように蛙や蝶々を追いかけることもできない。
汚れた体を拭きながらタオルに包んだ。とても短い生涯だったと思う。
生まれながらに弱く何も出来ないまま、汚れて死んでしまったこの子に何の罪も無い。

この子は女の子だった。
花を摘み取り、穴の中に花々を敷き詰めた。
すでに硬くなった身体は一旦閉じていた瞳は虚ろな半開きに戻ってしまったが、目元を撫でるとまた瞑った。

少しくらい綺麗にしてあげたかった。
少しの人にも見てもらえたら「私もいたのよ」と言えるのかも知れない。

この子猫の生涯はあのまま終わってしまうのではただただ悲しい。
人知れず隠れるように死んでしまった。
ただ生きているだけでも、走り回ったりするだけで誰かの心を解すことくらい容易に出来る魅力的な子猫だったろう。

しかしそれも身勝手な思考だということも知っている。
だから散歩した。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

吹く風

風は色々な香りを運んできてくれる4月に集中していた出張も無事に終えて戻ると秋田は梅や桜は満開のようだ。北海道では久しぶりの友人たちに囲まれ色々と刺激をもらった。学…

  • 395 view

雪国に暮らすということ

春を待つ楽しみ雪国に生まれ育った私はいつの間にか春を待つことが楽しみになっている。「春を待つ」という言葉もいい雰囲気だ。秋の紅葉が終わりを迎える頃に冬支度が少し進んで…

  • 492 view

屋根に雨音が響いている。しかし…

新型コロナウィルスは自分の首まで絞めさせるのか春先の景色にしては雪解けが早い。近くの側溝に流れる水の勢いは割と穏やかで緑が広がり始めた。賑やかだったフキノトウやフ…

  • 474 view

自分作りをしっかりと

過ごしやすくて結構なのだが少し肌寒い日が続いている。高い木の天辺から聞こえてくる美しく元気な声の主は誰だろうと気になったまま時間が過ぎた。お店の玄関先に植えた…

  • 362 view

梅雨時の散歩

6月12日より横手店を時間短縮で営業再開をした。何とか続けていられることに感謝しかない。新型コロナウィルスの第2波が来るのかどうなのか等、囁かれている中で不安…

  • 368 view

書けないから、書く

お湯割と焼きめざし何か書こうと思いパソコンを開いてみたが、昼間に思い付いたことが夜になって思い返すと書くほどというか書きたいほどでもない。仕方なく熊本へ行った…

  • 199 view