忘れ草

  1. DIARY
  2. 248 view

梅雨明け、湯沢、夏のひとり言

梅雨明けして夏になった。
梅雨明けしたら夜は涼しくなり虫の鳴き声が響いている。空の雲は秋のように広がって夏がそろそろ終盤近くに感じるほどだ。小学生の頃の夏休みにセミをつかめに近所のりんご畑に出かけて虫籠いっぱいのセミを取り、お父さんに自慢するとセミが羽化してからの寿命は短いのだよと教わった時の衝撃を思い出す。土の中で長いもので7年と聞く。本当かどうか定かではないが、少なくとも地上で生活するよりは遥かに長い時間を地中で過ごしていると思う。無事に羽化して子孫を残し去っていく。虫籠いっぱいのセミはすぐさま逃した記憶がある。それ以来、セミを追いかけることはなくなった。

濃い赤い色を見ると思い出す。
母親に手を引かれて近所の畦道を散歩した時のことで何かの童謡を口遊んでいた。色と思い出がシンクロしている。人の記憶は言葉にした途端に曖昧になる時がある。その情景をもっと思い出そうとするとどんどん遠くなって霞んでいくから不思議だな。

休日や遊びをおろそかにして仕事に没頭していることが情けなくなる。到底巧くやっているとは思えない感触が否めない。仕事を言い訳にするのは早めにやめようと思う。季節が進む速度が早く感じるのはそこに身を置いていない証かも知れない。

色々と反省し組み立て直し、また崩れてしまう。それでもまた積み上げようとする時に新しい勇気が湧いてくる自分は嫌いじゃない。それに巻き込まれる人には苦労をかけるがいつもと違う景色に出会えるかも知れないからいいだろうと思っている。本当のことに向かうのは楽ではない。

ざらついたものを手で撫でるとその感触が残る。温もりを感じられたらまだ救われる気がする。

遠くで吠えている犬の声や、森から聞こえるヒグラシの声に包まれた自分の環境がある。何もない贅沢な田舎に住んでいる。環境のせいにすれば巧くいかないことの方が多い中、黙して自己の都に変えられる日を進むのがいい。環境にも自分にも限界があるが、ウィットに田舎暮らしを楽しむことで多くを得られる気がする。
 
今日から3日間(8月5日〜7日)我が湯沢市では「七夕絵どうろう祭り」が開催される。盛大に盛り上がって欲しいと願う。その後「日本で最も美しい村」連合 季刊誌の取材があり出張する。夏はあっという間に通過してしまう予感さえあるが、今年は季節の中に身を置いて過ごしたいと思っている。そろそろ帰省する方も多い頃なので素敵な夏休みを感じて頂きたいと思っている。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

雨の音が好き

屋根に落ちる雨粒の音予め断っておくが多少酔っている。本日のお酒は、富山県の「MASUIZUMI」というお酒。とても綺麗な味があり透き通ったお水のようだ。…

  • 383 view

抽出というのは何事にも通ずるか?

今日はコーヒー豆をできるだけ細かく挽いてドリップした。できるだけといってもエスプレッソ用までにはいかない程度に留める。単なる気分転換だ。抽出されたコーヒーは味…

  • 354 view

考えているうちに冷めたコーヒーの味

雨音を聞きながら本を読んでは涙し、映画を観ては涙する。もう少し若い頃には感じもしないことだった。寒いなと思っていたら駒ケ岳で初冠雪したようだ。里山も紅葉に包まれて…

  • 385 view

夏の通り道

お盆を越えて随分と涼しくなった。近くの水路にサンショウウオがたくさんいて驚いた。夏は通り過ぎていった様子もあるが、残暑はあるだろう。東北の暑くて短い夏も後…

  • 487 view

寝酒

末廣酒造6月も残すところ2日となった。今月は新しく始めてみたいことなど、いつもより少し早くに行動に移せたことがあって少しづつ前へ進んでいるように思う。来月はもう少して…

  • 399 view

海辺へ

雨粒の予感を肌に持ちながら海までやって来た。蚊は耳元をかすめて首から肩の辺りを探って飛んでいるがあまり気にならなかったが、夕方過ぎの海辺は少し涼しくて、そのう…

  • 337 view