スペシャルティコーヒーの再現性を高める

  1. COFFEE
  2. 764 view

ポテンシャルを引き出すには様々な角度から観察をすることだ。
しかし、余すことなく引き出すのは少し考えてしまう。全て出し切ってしまえば余計なものまで出てきてしまう恐れがあるから躊躇してしまう。だからこそ素材を知るのと、何を使うのか、最適な抽出方法とポテンシャルへの焦点を定めることだ。つまり、コーヒーの話だ。

今日はエスプレッソのメッシュ(挽き目)合わせの最中にコーヒーの底力を感じた。追い込んでギリギリまで詰めていくと見えてくる美しいバランスが現れる。あるところから途端にジューシーな酸味が突出し、輪郭がはっきりと浮かび上がってくる。香りに厚みが生まれて、ザラついた舌触りは滑らかに変化する。突然目の前に現れる絶景といった感覚で、久しぶりに感じる好敵手といった感じだ。豆の持つポテンシャルを感じずにはいられなかったからこそ、ストイックになれたのは云うまでもなかった。生産者に敬意を払いたい。

良質の素材を扱うのは基本だが、そのポテンシャルをいかにカップの中へ再現していくかはシビアに向き合う必要がある。それが飲み手へ伝わったようであれば喜びは一入である。毎回同じようにはできないのは色々な要素が絡み難しいことだが、うまくできなくても冷静になり動じない姿勢で可能な限りのコントロールを心掛けたいものだ。それが毎回のコーヒー作りになっている。

お店に来られた際にはお気軽になんでも聞いて欲しい。
もしかしたらもっとコーヒーが面白くなるかも知れないよ。

それではまた。

コーヒー豆の買い付けで海外へ行き、コーヒー豆の消費国と生産国で多くのバリスタと出会いコーヒーの世界観はまだまだ広がっていく。人の魅力はどこからやってくるのか、撮影の折にいつも思う。美しさとは何なのか、近年のテーマとなっている。旅はこれからだ。

caffe gita yuzawa / caffe gita yokote オーナー
株式会社 gita 代表取締役

記事一覧

関連記事

遠い国でのこと

農園に響く生き物の声朝早くに目が醒めてゲストハウスから一歩踏み出せばそこにはコーヒーの木々がたくさん育っている。農園は夜明け前に降った雨によってしっと…

  • 262 view

エスプレッソの美味しさ、バリスタの謙虚さ

凝縮感をコントロールしていくエスプレッソを美味しく抽出するのは、そもそものところ「エスプレッソはどういうものなのか?」ということや「どういうエスプレッソを抽出…

  • 1362 view

ある日のコーヒーの香り

秋の夕暮れコーヒー日が暮れ始めると途端に寒くなってくる。あっという間に10度くらいまで下がりそろそろストーブの準備をしなくてはと思うこの頃だ。店内は焙煎機…

  • 394 view

コーヒーカップに詰めるもの

どれだけ飲んでも、どれだけ焙煎してきても、次から次へとイメージが膨らんでくる。抽出はある程度固定されたレシピのもと手順が身に付いてくると、そのブレ幅が見えてく…

  • 419 view

いつかの空、いつかのコーヒー

燃えるような空はあっという間に燻んで冷めていった。早くも10月は終盤を迎えてしまい、紅葉は里山までに降りてきた。こちらの記事の更新では、あれよこれよといい加減…

  • 459 view