高森町は晴天、町長に会う
「田村さーん!」と、編集長の声で目が覚める。寝坊した。。
朝食をとり10分ほど外に出て目をさます。この日は随分と気温が下がったようで芝生の上は霜がびっしりと降りていた。連日晴天に恵まれていたが風が強く身体の芯まで冷える。明日からは雪の予報。九州といえども阿蘇山周辺は東北の仙台に近い天候だと言われたのを思い出した。荷物をまとめホテルをチェックアウトし高森町役場へ向かった。
高森町役場では町長の取材をする。毎回町長の取材は楽しみにしていて、話を聞くにつれて人柄がにじみ出てくるのだ。声の張りや言葉に沿った表情など、街が活きている感じがひしひしと伝わってくるのだ。ライター高橋さんが質問を投げかけて数分ほどするとどんどんリズムが生まれてくる。時折入る編集長ジュリアーノさんの相槌や問いかけも絶妙だ。まるでセッションのようで、その中で撮影できることが本当に楽しい。
まだまだお若く気鋭の町長は勢いよく質問に答えてくださり、私たちへの投げかけも気遣ってくださった。町長室を出て撮影をした際には戯けたサービスショットも撮らせてくれた。どれが紙面に掲載されるのかはお楽しみに。
町長の取材を終えて役場の皆様にお礼をし、町内を散策しスナップしていく。情緒ある通りや町並みを歩くと、自分が住んでいる街のことを思う。人の生活は街を作り、人と人が繋がり街を作る。そこにどんな人がいるのだろうって思うと、住民一人ひとりはとても大切で「街をつくる」一人なのだと感じる。取材を通して見えてくるのは景色だけではなく、1人の表情から汲み取れる期待や不安がある。それが重なったり擦れて熱を帯びたりすると、人を呼び込む形を持つことは少なくない。新しい自分との出会いといえば聞こえは良いが、本来は新しい自分なんてないのかも知れない。当たり前にいるいつもの自分が「今」を通してどう変わっていくかを楽しめるかが私は大切に考えている。
「日本で最も美しい村」連合 季刊誌取材 高森町編はこれで完結する。まだまだお見せしたいことは山ほどあるので、それはいつか思い出した時にでもポッと書きたいと思う。連載を読んでくれた皆様には感謝しております。